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【ヘアカラーの基本】
西海洋史氏の視点は「明度」と「色」。
ヘアカラーって、こんなに簡単だったの?

ヘアコラム

2016.06.08.Wed

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6月19日に弊社より「ヘアカラーの基本」を発売する西海洋史さん。カラーリスト人生20年目を迎え、その集大成としてまとめたのは、「時代の変化を踏まえた上のベーシック理論」だ。サロンのお客さまの8割以上が「既染毛」となった今、習得するべき知識や技術はかつてのヘアカラーと異なる。

今の時代に必要な基礎とは? 

そして、カラー教育に求められるものとは? 

制作を終えたばかりの本人に直撃した。

根元と毛先の状態を

均一にできないと

「ホイルワーク」は意味がない

・ヘアカラーブームから20年余りの月日が経ちました。現在のヘアカラーが置かれている状況をどう見ていますか?

――カラーブームの時に20代だった人たちが、40代になってグレイ世代に入ったことで、美容室で求められるニーズが大きく変わりました。カラーチェンジやハイトーンは減って、8レベル前後のブラウンベースで、いかに狙い通りに染めるかが主流。残念なのは、根元と毛先の色みがズレてしまっている仕上がりが多いですよね。そういうベースなのにハイライトやウイービングが入っているデザインを見ることがあるけれど、まったく効果を感じられない。きれいじゃないんです。

・ホイルワークなどのデザインカラーは意味がない?

――そうは言ってません。ホイルワークというのは、ベースカラー、つまり土台が美しいというのが大前提。ディバイディングラインがある髪にハイライトが入っていても、立体感は感じませんよね? お客さまも効果を感じないから、次回リピートしない。どんなに提案しても日本でホイルワークが浸透しない理由は、じつはここにあると思っています。

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カラーチャートの

“間違いだらけの使い方”

・それでは、ワンメイクがうまくいかない理由は?

――色から先に決めているからだと思います。ヘアカラーが当たり前になった今、明るさはもちろんのこと、アンダートーンの状態も異なっているため、1つの色だけでは狙い通りになりません。サロンワークではカラーチャートを使って決めることが多いと思うんですが、それをすると、髪の状態を合わせるのが本当に難しくなります。ツールというのはすごく便利なようで、危険な部分もある。髪質や履歴が違うと、同じ色にはならないし、根元と毛先の状態がまったく異なるので、色が分かれてしまう。だからみんな色をブレンドしているのだけれど、なんとなくやっているので、混ぜることで色が濁ってしまうんです。

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ヘアカラーの失敗を無くす

「明彩ブレンディング」理論とは?

・それでは、何を基準にカラーを考えるべきでしょうか?

――サロンの現場では一番失敗する確率が低いものを選択すべきです。となると、明度を基準に考えるのが一番スムース。まずは根元と毛先の明度を中間部に合わせてから、色みを考えます。つまり、明度を揃えるカラー剤と色みを表現するカラー剤を、分けて考えるんです。

・基本的に2つのカラー剤を使う、ということですね。

――そうです。明度のカラー剤と色みのカラー剤は実際にはブレンドしますが、目的によって比率を変えていきます。混合比率は6パターン。色みを強く出したいときは色みのカラー剤の比率を増やしていくだけ。明度と彩度に分けて考え、ブレンドの比率を変えていくこの考え方を、「明彩ブレンディング」と名付けました。明度のカラー剤はニュートラル系のブラウンを使うので、どんな色みとブレンドしても、トーン差が出すぎたり、色調がズレることはありません。

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今、一番使えるカラー剤は

「低アルカリのクリア剤」

 

・明度と彩度の2つのカラー剤で、すべてのヘアカラーが表現できるとしたら、とてもシンプルでわかりやすいですね。

――基本理論は、この2つのカラー剤を軸に考えます。ただし、毛髪はヘアカラーを繰り返すことで、状態がかなり不均一になっているので、現実には2つのカラー剤だけでは調整ができないことがあります。ヘアカラーの失敗の多くはこのことに起因していて、それくらい毛髪の状態は複雑。そこで、明彩のカラー剤の他に、ベースを整えるための5つのカラー剤をブレンドする方法を考えました。

・5つのカラー剤とは、どんなものですか?

――色の発色を補佐する「ベース剤」の役割といえばわかりやすいでしょうか。たとえば、ヘアカラーを繰り返すことで、髪から赤みが抜けて想定通りに色が出ないことがあります。その場合、疑似メラニンとしてオレンジを使うことで、ブラウンが発色しやすいベースをつくることができます。また、部分的に色が吸い込みやすい状態になっている場合には、低アルカリのクリア剤をそこだけブレンドして、発色をコントロール(遅らせる)することもできます。クリア剤というのは適度なツヤも出るし、今の時代にとても合った、〝使えるカラー剤″だと言えます。

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一番実践的な

ヘアカラーの学習法

・教育に対する考え方も大きく変わったと聞きました。

――かつてはハイレベルのことができないと、現場に出てはいけないと考えていたこともありました。でも、客数が限られる今の時代、早めに現場でお客さまと触れ合い、担当する喜びを感じてもらうほうがやりがいにつながるし、もっとうまくなりたいと思えるんですよね。大抵のサロンは、入社して1年満たないうちに、アシスタントが現場でカラーの塗布をします。その間にカラーの基本的な知識も一緒に身につけておきたい。サロンの生産性を上げ、デザインに注力していくためには、カラー教育をもっと実践的かつ短期間で習得できるプログラムに変えていかなくてはならない、と考えるようになりました。

・今のカラー教育は、時間がかかりすぎている?

――教育者の目線で考えると、その時間に見合った専門知識を習得できているとはいえません。塗布の方法と色が発色する仕組み、場合によっては現場と離れた色彩学だけ教わって、あとはやりながら覚えましょう、というのがほとんど。何より、今一番必要な既染毛に対するアプローチが抜け落ちている。これでは、片手落ちです。美容室の生産性を高める、という観点で考えても、短期間であることが重要です。

既染毛時代に対応した

唯一のベーシック

・実践的な知識を短期間で、というのは今の時代に必須ですね。

――今回出版する書籍では、1年で基本知識を習得することをイメージしてつくりました。実際、今年入社した1年生に、この本の内容をそのまま教えているんです。今のところ、イメージ通りに進んでいますよ。これを実現しないと、説得力がないよね(笑)。

・最後に、HPを見ている方にメッセージをお願いいたします。

――ヘアカラーはプロとして精度を高めていくのは当たり前。デザインという視点で考えても、ワンメイク技術をおろそかにしては、進化しようがありません。デザインや技術はすべてにおいて、基本に始まり、基本に終わります。今回紹介しているカラーの理論は、ヘアカラーがスタンダートとなった時代の唯一の実践的ベーシックだと思っています。髪色への理解を深めるために、毛束を使った自己学習法やブリーチの活用法なども掲載しました。この本を通じて、カラーを学ぶ楽しさに触れてもらえば幸いです。

Profile

にしがいひろし/1967年神奈川県生まれ。美容学校教員を経て1991年渡英。ロンドンでカラーの経験を積み、カラーリストに転向。帰国後、原宿と表参道にサロンをオープンし、全国の美容師を対象としたアカデミーを開校。 数々のカラーリストを育成し、日本のヘアカラー技術発展に寄与する。豊富な知識に基づいた体系的なカラー理論は業界でも随一。ヘアカラー剤、ヘアケア剤の開発にも多く携わる。beauty and care CALON代表。

ヘアカラーの基本 H1

西海洋史(CALON)

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