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gem 森川丈二×批評家 布施英利
“センス”はあるものでなく、鍛えるもの

インタビュー

2016.08.11.Thu

メイン

森川丈二氏(左)と布施英利氏(右)。月刊BOB 2016年9月号より(山﨑美津留=写真)

 

コンテストシーズンを前に、ヘアクリエーションのレベルアップをめざしたい。

そんな気持ちと裏腹に、「技術は練習で磨けるが、自分にはセンスがないし……」と、諦めてはいないだろうか?

そんな人にオススメなのが、小誌 月刊BOB 2016年9月号(8月1日発売)の第2特集「感性の“ロジック”を学ぼう」。

一見天賦の才能だと思われがちな、センスや感性の“鍛え方”を、3章に分けて詳解している。

今号のWEBZINEでは、その冒頭にある 批評家 布施英利氏とヘアメイキャップアーティストとしても活躍する森川丈二氏の対談より、下記に一部抜粋した。

 

“髪を作品として創る”とは

――布施さんの専門分野である芸術と、森川さんの専門分野であるヘアメイク。今対談では、芸術鑑賞の視点を、どうヘアクリエーションに活かすかを探っていきたいと思います。

布施英利(以下 布施) 私、専門分野はいわゆる〝芸術〟ですが、つくり手といってもヘアメイクに特化したアーティストの方と関わるのは初めてです。森川さんのお仕事は、広告や雑誌などの写真を前提としたものが多いですか? それとも、たとえば映像とか?

森川丈二(以下 森川) どちらもやります。写真だと、資生堂在籍時代から広告も一般誌・専門誌もやりました。動きを意識したモノだと、当時は東京やNY、パリコレクションなども携わりましたし、他は映像とか。

布施 多岐に渡るんですね。一方からだけでなく360度全方位からの視点を切り換えねばならない美意識というのは、珍しいジャンルかもしれません。

 

“髪”の作品を観るヒント

――コンテストやフォトなどで、この作品を「良い」と思うのには理由があると思います。それぞれつくり手、受け手の立場から、どんな理論をお持ちですか。

森川 写真で特に感じるのですが、奥行きとは、その字のごとく本当に〝奥深い〟というか……。僕の経験で言いますと、前髪1本だけで奥行き表現ができるんです。頭頂から顔に向かって髪がはらりとかかっているとします。当然、リアルな情景は三次元世界ですから頭も髪の動きも立体的。ですが、それを写真に収めてみるとただ上から下に落ちてくる直線にしか見えず平面的に写る、ということがあるんです。

布施 三次元を撮っているはずなのに絵よりも二次元的、という。おもしろい。そういう場合はどうするのですか?

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©月刊BOB2016年1月号 森川氏作品

 

写真における、髪は“筆”

森川 先ほどの遠近感の話題と通ずるんですが、やはり重なりとかうねりみたいな複合要素でつくっていきますね。

布施 なるほど。髪と筆、これの相関関係もあるのではと思いましてね。絵画に使う筆の原材料は、毛じゃないですか。至極当然のことではあるが、筆致、つまり濃淡であったり曲線であったり……、そういったことで二次元を表現しようとする絵画の手法と、髪の動き1つで世界をつくるヘアデザイン、これは非常に近しい世界だと気づかされます。

森川 その話に関係して、僕は元々山水画が好きで。なぜかと考えると、この技法独特の濃淡や明度差で魅せるところに惹かれているんだと思うんです。

布施 水墨画の技法はまさに、1枚の絵の中にさまざまな質感を混在させますから、その中で必ず筆のタッチが効いてきます。そこが、森川さんに撮って髪に対する繊細な感性とリンクしているように思いますね。

森川 高校時代デザイン科で西洋画の技法や色彩美を学んだことも活きているんですが、知らず知らずのうちに、やはり自分の感性が研ぎ澄まされる部分はそこなのかなと思いました。

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線の集合がフォルムも質感も、空気もつくる

それがヘアクリエーション

布施 先程から森川さんのブックを拝見して、本日1日髪の毛に想いを馳せまして、髪というのは〝線〟なのだなと再認識させられたんですね。いえ、当たり前なのですがどうも絵画にしろ彫刻にしろ、人体を構成する〝カタマリ〟としてとらえていた節があった。

森川 そうですね。まっすぐな髪やクセのある髪、無数の線を重ねて形をつくる。さらに、ヘアカラーで〝透明感〟なんて追求して。それは透明であるはずもないのに。終わりのない表現の追求なんです。それにさらには、再現性、エイジング……と時間軸も加わる。一瞬として同じ“美”はなく、刻一刻と変わるものだから、美容師は楽しくて、やめられないのだと思います。

(アート作品の見方の基礎やセンスの鍛え方までわかる対談の全貌は、月刊BOB9月号 54~57ページでチェック!)

Profile

布施英利

ふせひでと/1960年生まれ。群馬県出身。東京藝術大学美術学部卒業。同大学院美術研究科博士課程修了。学術博士。美術と科学を横断的に分析した研究・著作活動を行う。東京大学医学部解剖学教室助手として養老孟司の下で研究に従事するなど、広くかつ深い視点で切り込む。最新著書『遠近法がわかれば絵画がわかる』(光文社新書刊)

 

森川丈二

もりかわじょうじ/1967年3月27日生まれ。長崎県出身。長崎日本大学高等学校デザイン科で美術基礎を学んだ後、山野美容専門学校にて美容師免許取得し、資生堂入社。広告やヘアショーのヘアメイクを数多く手がける。2006年東京・原宿にgemオープンし、フリーランスとして活躍中。JHAグランプリなど、受賞歴も多数。

 

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