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美容師の練習時間は労働時間なのか?
他業種のプロから学ぶ、仕事の本質

インタビュー

2016.12.05.Mon

プレゼンテーション1

(写真左:ギタリスト 新堀ギターアンサンブル<NE>コンサートマスター、新堀ギター男性六重奏団、学校法人国際新堀芸術学院講師 田口尋夢さん、写真右:クラシックギタリスト 新堀ギターアンサンブル<NE>奏者、新堀ギター女性四重奏団、学校法人国際新堀芸術学院講師 田口洋美さん)

 

 

「スキルを磨くための練習はだれのため?」

 現在も、美容業界で問題とされている一つの課題です。

 皆さんは何のために腕を磨いていますか。売り上げを上げるため? お客さまの満足度を高めるため? 将来、独立するため? その目的は1人ひとりの意識によって異なるはずです。今回の課題である「スキルを磨くための練習=個人練習」の時間を労働時間とみなすのか、それは非常に難しい問題ですが、“何のために腕を磨くのか”その答えが自身の中で明確になれば、その答えも見つかるかもしれません。

 そこで今回は、プレイヤー兼講師を務める他業種のプロに同じ質問を投げかけてみました。そこには、美容師にも通ずるヒントが隠さているかもしれません。

 

プレイヤーと講師を兼任する

新堀グループ

 今回取材を受けてくださったのは、(株)新堀ギターアカデミーの代表取締役である落合洋司さんと、学校法人国際新堀芸術学院の講師であり、プレイヤーとしても活躍している田口尋夢・洋美夫妻。

 まずは、新堀グループの組織構成から見ていきましょう。

「新堀グループは、主に大きく分けて2つに構成されています。音楽の専門家を育てる『学校法人国際新堀芸術学院』と、一般の方たちがギターを学ぶ『新堀ギター音楽院』です。これらの学校の講師を務める先生方は全員『学校法人国際新堀芸術学院』を卒業することが前提であり、プラスして新堀ギターオーケストラに入団することが決定しています。新堀ギターオーケストラの中でも特に優秀な演奏家は、新堀ギターアンサンブル<NE>にも入団するような仕組みです。つまり、弊社で働いている社員は、講師とプレイヤーの二足の草鞋を履いているということ。田口夫妻も、ある日は講師として生徒たちにギターを教え、週末は新堀ギターオーケストラや新堀ギターアンサンブルのプレイヤーなどとして活躍しております(代表取締役 落合洋司氏)」

5

(写真:落合洋司氏)

 

自身の成長へとつなげる“宝探し”

 講師兼プレイヤーを務める田口尋夢さんと田口洋美さんの主な1週間のスケジュールは、以下の通り。

表

 火曜日~木曜日まで専門学校の講師として講義と生徒の個人レッスン。尋夢さんは30名ほどの生徒を受け持っており、放課後には1名につき約30分間の個人指導を行っています。そのため、労働開始時間は決まっておらず、講義のスケジュールや生徒の出席状況に合わせ出勤・退社。金曜日は、プレイヤーとしての活動を行っており、午前10時~午後14時までオーケストラのリハーサル、次にアンサンブル、そして男性六重奏団のリハーサルを行います。そして土曜日は一般の方にギターを教える付属コースの講義。日曜日はコンサートイベントに参加するのがほとんどで、その翌日の月曜日がお休みというスケジュールです。

 1週間のスケジュールはびっしり。講師兼プレイヤーともなると、ご自身の練習時間はどこで確保しているのでしょうか。

「基本、授業のある火曜日から木曜日は、授業の空いている時間を見て個人練習を行っています。基礎練習は欠かせませんので、毎日最低1時間は楽器に触るようにし、余裕のある日はコンサートの課題曲に取り組みます(田口尋夢氏)」

 唯一の休みである月曜日は、授業の素材集めや音楽発祥の地であるヨーロッパの市場を調べ、ある日には夫婦で美術館に出かけるなどをして感性を磨くことも怠らないそうです。さらに、尋夢さん自身がレッスンに通うこともあるとのこと。夫婦で音楽の話をする日もあれば、新堀ギター関係者以外の人と会うことで音楽の視野を広げることを大事にされています。また、生徒の個人レッスンの中でも自身の音楽性を高められるというから驚きです。

「講師を始めた当初は、レッスンを受け持つのがすごく嫌だったんです。本当に自分が教えて大丈夫なのかと不安でいっぱいで。でも、ある指導者が僕にこう言ってくださったんです。『生徒1人ひとりの宝探しをしなさい』と。今までは、生徒のダメなところばかりを指摘する指導のやり方だったのですが、その言葉を聞いてからは生徒の良いところはどこなのかと視点を変え、生徒の可能性を伸ばしてあげようという意識に変わったんです。そうすると、僕自身が今まで気づかなかった音楽の新たな可能性を発見することができたんです。『教える』ではなく、『一緒に発見する』へと意識を変えることにより、僕自身の世界も広がりましたね(田口尋夢氏)」

 意識を変えることで、自身も変わる。仕事を続けていれば必然と後輩ができ、指導にあたる美容師の仕事も、意識の持ちようでどんなことも自身の成長へとつなげることができそうですね。

 

誰かのために動くこと

それが仕事

 授業の準備、事務作業、さらにはプレイヤーとしての活動。想像しただけでも忙しい日々の中、仕事の合間を縫って自身の腕を磨き続ける田口尋夢さんと洋美さんに仕事に対する意識を聞いてみました。

「授業を行っているとき、コンサートで演奏している時間はもちろん、仕事の時間という意識を持って取り組んでいます。しかし、個人練習の際は仕事の時間であるとは一度も思ったことはありません。仕事というのは、“誰かのために動くこと”だと思うんです。生徒のために質の高い授業を行う、お客さまに感動していただくために演奏をする。それが仕事です。個人練習というのは、結果的に生徒への指導力向上、お客さまを感動させることにつながるかもしれませんが、目の前の目的は自身の腕を磨くことです。そのため、個人練習の時間が仕事だとは一切思わないですね(田口尋夢氏)」

「2人ともただただ純粋に音楽が好きなんです。普段の生活の中でも夫とは音楽の話をよくします。同じ職業の人同士で結婚をすると、仕事の話題を避ける夫婦もいらっしゃるかと思いますが、私たちは真逆ですね。尊敬し合い、より良い方向に向かってほしいからこそ、お互いにアドバイスし合うことは日々の日課のようなものです。私は個人練習の時間に生徒のレッスン曲を練習することもあります。けれどその時間が仕事の時間か?と問われるとNOとはっきり答えますね(田口洋美氏)」

 好きなことを仕事にしているというお2人。だからこそ、自身の腕を磨く時間が絶対に必要だと感じているのかもしれません。“誰かのために動くこと”それが仕事の本質であれば、美容師にも同じことが言えるのではないでしょうか。

3

 

女性の働き方

 技術者、表現者にとって、一度、仕事から離れると怖いのが感覚や感性、技術が劣ること。結婚、出産後に職場復帰を願っても、上記理由から二の足を踏む女性美容師も多いはずです。現在は、女性活躍の場の拡大促進やダイバーシティという考え方から、女性の職場復帰に対して積極的に環境を整えている美容室も少しずつ増加してはいますが、まだ少ないのが現状です。美容業界と同じく女性人口の多い音楽業界はどうなのでしょうか。結婚されている田口洋美さんに女性の働き方についてお聞きしました。

「仕事の内容は男女変わりません。それは美容師さんも同じことだと思います。そのため、楽器を弾かなければ技術は衰えますし、音楽と関わっていなければ感性も鈍るでしょう。だからこそ、一度仕事から離れたら今まで通りコンサートを行うのは難しいと思います。しかし、お子さんが産まれても現場の第一線で活躍されている方もいらっしゃいますよ。陰で人一倍の努力をされていると思いますが、そうでなければ完全に仕事に戻るのは難しいということです。周りの環境も大切だと思いますが、自身の努力次第で結婚後の働く環境はつくれるのではないでしょうか(田口洋美氏)」

 家庭のことも、音楽のことも共有する田口夫妻。家族のカタチは家族の数だけありますが、周りにどうしてほしいかという他力より、自分自身がどうしていきたいのかで今後の未来も変わってきそうですね。

 

【新堀ギター クリスマスコンサート情報】

今回取材をお受けくださった田口尋夢さんと田口洋美さんが出演する「クリスマスコンサート“平和を願って”」が2016年12月2日(金)~12月25日(日)の期間で行われます。腕を磨くことに余念のない演奏家が集ったスペシャルなコンサートは見ものです! 田口尋夢さんの“誰かのために動くこと、それが仕事”という仕事の本質が実直に伝わってくるかもしれませんね。

(詳しい内容はこちらから)

 

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