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LA美容室に学ぶ、コロナウィルスによる営業中止前後にできること

取材

2020.04.14.Tue

la

2005年に渡米し、2008年よりロサンゼルスにある日系サロJ’s Hair Studioで働く松岡唯さんに、サロンの営業中止前後の状況、サロンで実施した対策について聞きました。

日本でいうLAは、一般的にカリフォルニア州に所属するロサンゼルス・カウンティを指します。88もの市を持つその面積は関東17道府県と同じくらいの広さ。今回はローランドハイツ市にある松岡さんのサロンでの対策だけでなく、ビバリーヒルズ市のサロンに勤める松岡さんのご友人の美容師さんにも教えていただきました。(47日取材時点の情報です)

 

 

ロックダウン→営業停止までの流れ

3/19~ カリフォルニア州知事から全住民に自宅待機令=ロックダウン

    (ただし外への散歩、必要最低限の買い物に出かけることは可能)

3/20~ 営業中止 (生活必需品を扱う業種※を除く)

※医療関係、銀行、スーパー・コンビニ、州や市の役所、運送業、マスコミ、コインランドリー、ガソリンスタンド、レストランはテイクアウトとデリバリーのみ、車の修理・メンテナンス業、一部のホテルは営業など

 

「自宅待機令が発令される1、2週間前から徐々に外出する人が少なくなってはいました。サロンではお客さまのキャンセルも出始め、日程変更希望の方も含めて多くのお客さまからサロンに連絡が入るようになりましたが、どこのサロンも3/19のロックダウン発表まで営業していました」

3月の半ば~末にかけて、スーパーやコストコは多くの人で溢れていましたね。日本と同じように、トイレットペーパー、冷凍食品、缶詰やベビー用品、除菌グッズなどが一気になくなりましたが現在は比較的落ち着いてきています。レストランもイートインはすべて禁止、テイクアウトとデリバリーのみになりました」

 

当初の予定では、自宅待機は4/19までの1カ月間とされているが、今後の状況次第で延長の可能性がある。小・中学校や大学は市によって異なるが5月末まで休校予定。

 

 

営業停止まで実施していた感染対応策は?

【基本は日本のサロンと同様の対策】

・サロン内の換気、消毒

・コームやブラシ類の消毒

・ハンドサニタイザーを受付とお手洗いに設置

・美容師の手の消毒をお客さまの前で実施

 【ぜひお客様にも協力を依頼したい!】

・お客さまも美容師もマスクを着用して施術

・アレルギーや花粉症のお客さまがいらっしゃる場合は、不安にならないよう他のお客さまにも伝えておく

・シャンプー中の会話はなるべくしない

・雑誌の撤去

 

「カラー施術の際もマスクを外したくないというお客さまも、もちろんいらっしゃいました。耳周りやもみあげの塗布は難しかったですね。また、男性やショートスタイルの方のカットの最中にはマスクに髪の毛がどうしても付いてしまうので、手でカバーしていただく、もしくはその時だけ外していただいていました。マスクをすると会話が聞こえづらく、特に英語だとはっきり発音しないと伝わらなかったので大変でした。顔の表情も分かりづらくなるため、なるべく接客態度で示せるように心がけていました」

「花粉症で咳が出るお客さまもいて、その方が来店される際には他のお客さまにもお声がけしていました。これは、うちのサロンがほぼ固定客だからできたことかもしれません」

 

 

 新型コロナウィルスに負けない!LA美容界のSNS活用術

「美容師の方でも美容に関係のない面白い動画をあげたり、見ていて気持ちが明るくなるようなことをされている方が多いですね!」

 

 

 LAの美容室・異業種からも学ぶ、経営難の回避策

・エクササイズ系、音楽教室、塾、語学系などたくさんの業種の人たちが『zoomや『Youtube』などを使い、オンラインで仕事をキープ。料金は対面時と同じ金額を取っている場合が多い。

・飲食店ではテイクアウトのお客さまに、野菜・肉・果物などその店舗で取り扱っている材料を売って売り上げを確保している所もある。

・飲食店ではお得感のあるギフトカードをお店のウェブサイトやOpentableのような予約アプリで販売(例:通常$120$100になるギフトカード)(松岡さん友人談)

「バレエやヨガ、エクササイズ動画はライブ配信も含めて無料で見れるものが増えています。有料・無料は個人、企業によりけりですね。私は元々スペイン語のレッスンを対面で受講していたのですが、先生のご厚意でこの1カ月間は『zoom』で週に11時間の授業を無料受講しています」

 

オンラインレッスンやギフトカード販売、メールでの店販販売(後述)で生じるお金のやり取りは、日本の場合『LINE Pay』(LINEの友達への送金が可能)、『Money Tap』『J-Coin Pay』(銀行口座から銀行口座へ直接送金・即着金)が現実的。オンラインレッスンの場合は手数料が発生するが『Peatix』『ストアカ』を利用すれば、一般の多くのお客さまへの告知・アプローチも兼ねることができる。

 

 

ロックダウン中のお客さまへのフォローや実際の相談事など

・白髪染めのお客様には白髪カバーアイテム(アメリカでもパウダータイプ、マスカラタイプが定番)を使用していただき、セルフカラーをあまりお勧めしない。ムラや色味が違ってくることを事前に説明。

★営業中止後、こちらから一度お客さまと連絡を取る

・基本的にカラーやカットは我慢していただきたいことを説明。その上で、自宅でのケアやセルフカラーの方法やコツなどを説明(ビバリーヒルズ市・Yusuke Mosquito氏)

★ホームケアのおすすめ商品は、ロックダウン後にメールでご案内してご購入いただいたビバリーヒルズ市・Yusuke Mosquito氏)

 

 実際に松岡さんがお客さまへ送った内容(日本語訳)▼

こんにちは、お元気ですか?
州からの自宅待機令により当面営業停止になりました。
まだいつまでかははっきりしていませんが、再開のめどがついたらご連絡差し上げます。
おうちでゆっくりとリラックスしてお過ごしください。

 

「営業中止後にこちらからメールをお送りしたところ、購入しようと思っているブラシのご相談や、ご家族の様子、私を心配してくれる内容まで様々な返信をいただきました。今は自分ができることをして安全に過ごし、サロンが再開した際の混雑や混乱をどう回避して皆さんに快適に過ごしてもらうか考えるようになりました」

「セルフカラーは市販のものを使用してもらっていますが、色が選定できない方はテレビ電話で対応します。塗布の仕方はYoutubeでたくさんアップされているのでそちらを参考にしてもらっています。塗布の仕方でも質問がある場合は個別に対応しています。もちろん市販のカラー剤の使用によっておこる、ムラ・染め残し・ダメージ・残留色素などについては、通常営業に戻り次第対処することを納得していただいています。ヘアケアは今までと変わりませんが、水分と油分の補充と補給をメインに、アウトバストリートメントなどおすすめの商品をお客さまにメールで紹介しました。たくさんの方にご購入いただき、想像以上の売り上げになりました(ビバリーヒルズ市・Yusuke Mosquito氏))」

 

 

美容室や美容師へのアメリカ政府からの補助事情

4/7更新のNYを参照

※正式な内容を只今確認中です。

 

 

ロックダウン後の生活のリアル

外に散歩や必要最低限の買い物に出かけることはできるのですが、それ以外は家にいるようにと指示が出ているため、友達家に遊びに行くこともできません。みな外に出た際は、ソーシャルディスタンス(約1.8メートル)を取るように気を付けていますね。レジに並ぶ時も距離を空けて並び、人数制限をしているスーパーもたくさんあります。私自身もほとんど家にいて、ヘアショーで訪れることがあるスペイン語の勉強をしたり、ヘッドマッサージの知識を深めるために昨年受講したセミナーのDVDを見直したり、体力づくりをして過ごしています」

 

 

ロックダウンを経験したLA美容師から、日本の美容師へのメッセージ

「お客様、スタッフ、またそのご家族の安全のため、職場や美容師仲間内でも情報を共有し合い、年齢関係なく、一人ひとりが自身の行動に責任を持って、危機感を持って安全に過ごしてください」

「日本の経営者様もしくはスタイリスト様については、いかに自分自身、家族、同僚、お客様、友人を護られるか思案して頂きたい。個ではなく集の力でこの国難を乗り切ってほしいと思います。(ビバリーヒルズ市・Yusuke Mosquito氏)」

 

松岡さんが所属するJ’s Hair Studioオーナーの山崎賢一さんにも、今回のコロナウィルスによる営業中止に際して経営者として、今思うことを寄せていただきました。

「今後世界経済の衰退で、どの国もかなり深刻な不況に直面する事になり、美容業界も直撃を受ける事になります。多くの経営者の経営戦略思考を変える事になると思います。リスクマネジメント、フェイルセイフが問われます。不況時にも負けない事業形態の構築、財務改善が急務になります。しかし、希望もあります。我々美容事業は社会、地域コミュニティーの重要な一員であり、ある種、社会と運命共同体であるとの思いがさらに強くなりました。その結果、観点が明確になりました。今後の私の様々な経営判断に生かされると思います。今、大勢のお客様、団体、学校法人の皆様が我々の事業再開を心待ちにされている、社会から必要とされている、この気持ちが私を含めてスタッフ全員のモチベーションになっていると思います。会社として現在この基盤を築けていたことを本当に幸せに思います。私自身、希望を持ち続けていられる理由でもあります」

 

 

松岡 唯[J’s Hair Studio /(アメリカ・ロサンゼルス)]

まつおかゆい/1985年8月26日生まれ。京都府出身。高校卒業後、語学を1年勉強し2005年に渡米。Citrus collegeにてCosmetologist(アメリカの美容免許)を取得し、2008年日系サロンであるJ’s Hair Studioに入社。サロンワークをベースにスタイリストとして活躍しながら、ディレクターのLISA氏のヘアショーのアシスタントとして世界をとびまわる。日本からLA研修に訪れる学生たちへのフォローやアドバイスも行う。

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