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NY美容室に学ぶ、コロナウィルスによる営業中止前後にできること

取材

2020.04.07.Tue

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2016年に渡米し、現在はNYの日系サロンthreedegreessalonで働く穂高律子さんに、NY都市封鎖によるサロン営業中止前後の状況や、経営存続のために実際に行った対策、現在のご自身の生活などについて聞きました。(4月6日取材時点の情報です)

東京都内では、すでに1カ月程度の営業自粛を行うサロンが増えてきました。

全国の美容師さんに、今読んでおいて欲しい情報をまとめました。

 

緊急事態宣言→営業停止→ロックダウンまでの流れ

3月1日 ニューヨーク州初の感染者確認

3月7日 ニューヨーク州知事が緊急事態宣言

3月13日 大規模の集会禁止、ブロードウェイ閉鎖

3月16日 バーやクラブ、映画館といった施設が閉店。また飲食店もテイクアウトとデリバリーのみに。

学校や図書館、あらゆるお店が順次閉店。会社員は在宅勤務が増える

「3/14までは、駆け込みで髪を切りにくる方が多く意外と忙しくしていました。3/14~3/20の間はキャンセルも出始め、数人を担当するために出勤していた感じですね。

このころ、レストランもテイクアウトだけになっていて、街に人がぐんと少なくなってきました。電車もガラガラで、私たちだけしか働いていないんじゃないかと思ったほどです。

治安の悪化は肌で感じることができるほどで、Sohoや5番街にあるブランド店は強盗や落書き対策で鉄のガードをお店につけていました」

3/21 国から美容室利用停止命令、営業停止(サロンによっては3/21以前に自らの判断で閉めていたサロンも多かった)

 

現在は外出禁止が4月30日までに延長。感染のピークが4月7日~21日だと言われている。

 

ニューヨークのロックダウンの特徴。罰金は?

ニューヨークの外出禁止は、「企業に対する出勤禁止の義務付け」は罰則があり、市民に対しては要請なので罰則がない。

生活に不可欠な施設は営業しており、買い物や散歩なども可能だが、一定の距離を保たないと罰金という市長令が出ている。

https://www.youtube.com/watch?time_continue=6&v=Ga0h1-jXTP8&feature=emb_title

21日に穂高さんがSOHOを撮影した動画。東京の表参道・青山のような場所だが、ほとんど人がいない!

 

 

営業停止まで実施していた感染対応策は?

【基本は日本のサロンと同様の対策】

・お客さんの人数を制限し、予約が重ならないようにする

・ハンドサニタイザー(消毒剤・殺菌剤)の常備

・換気(ただしNYは治安悪化により常にロックをしていないと危険を感じたため、常時は難しかった)

「アメリカ系サロンは対策をする前に、3/14には閉めているところが多かったです。消毒系のものはすでに売り切れていたし、マスクが有効だということを知らない美容師が多いと感じていました」

【ぜひお客様にも協力を依頼したい!】

・来店後お客さまにも手を洗ってもらう

・お客さまにもマスクをしてもらいカットする

・曜日ごとに出勤スタッフを分けて勤務

「アメリカは美容師とお客さまが対等な立場なので、美容師自身の身を守るためにも手洗いやマスクを必ずお願いしていました。保菌はお互いにあり得ます。

日本はやっぱり“お客さまは神様”の文化がありますよね。私もサロンの同期と話をしていて気付き、日本の美容師さんからは言いづらいだろうと思って自分のインスタのストーリーで日本にいらっしゃるフォロワーさん向けにも呼びかけました。

ただ、実際にマスクをつけて営業したのは3/20辺りだけ。アメリカだとマスク=病気の人、という認識が強く、今回さらにマスクをつけ始めたのはアジア人が早かったので、アジア人差別にもつながってしまったんです。

さすがに今は空気が変わって皆さんマスクをつけていますが、最初はマスクをしていて殴られるアジア人がいたり、今度つけていなくて殴られた人がいたり、新型コロナに対するストレスが迷子になっていると感じました。

新型コロナウィルスに負けない!NY美容界のSNS活用術

【youtube,IGTVを活用】

お客さまの役に立つ動画の発信やライブ配信、ストーリー投稿が増加。

「この状況で、人のためになる何かを発信している人はカッコイイなと思います。私もIGTVを始めてみました。アメリカは自粛という感覚がないので、みんな前向き!」

zoomでの美容師向け無料オンラインレッスン】

ウェブ会議ツールのzoomを使った、ヘアプロダクトブランドと数名のスタイリストによる美容師向け無料オンラインレッスンが始まった。担当者と時間の告知があり、オンライン予約が可能。

・アイロンを使った髪の巻き方

・前髪の切り方

・時間があるからこそできる、トリートメントマスクhow to

・美容師向けのスタイリング、フィニッシュワーク技術の提供 など

 

 

「今SNSに自分の作品などをあげたとしても、あまりにも現実味がなく目に止まらないというか、世間が動いてないから仕事につながらないので、みんなに役に立つものや情報をシェアしている気がします。私もそういう人を改めてフォローするようになりました!」

NYの美容室・異業種からも学ぶ、経営難の回避策

★お店が持続できるよう、Fundサイト(特に『GoFundMe』アプリが人気)に登録してお客さまに募金を呼びかけ

★お客さまのe-mailアドレスに、挨拶・ギフトカードの買い方の説明・fundのリンクを載せて送信

→オンライン上でお客さまにギフトカード(※1)を購入してもらう

→メールに“デジタルカード”として添付して発行

※1:次の施術料金分を事前購入してもらう

▼実際のギフトカード購入ページ

https://threedegreesnyc.com/gift-certificate-request-form

▼実際のfundページ

https://www.gofundme.com/f/three-degrees-salon-fund

▼実際のメール全文

 

「アメリカは“donate”(寄付)文化なので、どの美容室もすぐにサイトに登録して、お客さまに呼びかけていました。

私は日本のサロンもやるべきだと思います。1人のお客さまから、10万円をdonateされてるサロンもありました。移民として、お客さまからのお店とスタッフの存続への愛を感じて嬉しくなりましたね

『GoFundMe』というアプリでみんなやっているのですが、これは美容室だけに限らず、よく行くレストランや医療へなど全ての職業がやっていて、お互い支えあおうという感じでdonateしています」

「私たちのサロンはギフトカードもやっています。

次の施術分を先に払ってもらうことで一時的な売り上げとなり、来月のわたしたちの給料のサポートにつなげています。営業が再開した月はちょっと苦しいかもしれませんが、今現在の自分たちの生活・お店を回していくという意味で、これはとても助かります

わたしも2週間で60万円分くらいのギフトカードを皆様に買っていただきました。そこで大事だったことがemailアドレスを以前から聞いていたことです。

日本だとどのツールがいいのかわかりませんがアメリカはgmail文化なので、そこに、挨拶・fundのリンク・ギフトカードの買い方の説明を載せて、送信しました。

日本の美容師さんでgmailへの馴染みがない方も多いと思うのですが、アメリカでは働いているお客さまはgmailを活用されていることが多いので、そこでのやり取りは大事かなと思います。私も個人のgmail同士で予約のやりとりしている方がたくさんいたので、そこへ上記のようなメールを送らせてもらいました。

お金を催促しているようなメールの気がしてしまい送りづらかったのですが、お店からのお願いだとお知らせ感あり、送りやすかったです

メールアドレスを知らないお客さまでも、自ら次の施術分を先に払わせてもらえませんか? とメールをくださる人や、わざわざ電話をくれて、お金に困ってない? 困ってたら助けるから言いなさいねと言ってくれる方がいたり、本当に優しい方が多いです。

アメリカは『Venmo』という日本の『LINEpay』のようなアプリで誰とでもお金を簡単にやりとりできます。大変だと思うから使ってねと、突然お客さまがお金をVenmoしてくれたという美容師の友人もいました。日本だったら、こんなことってあまりないので、驚かされます」

ロックダウン中のお客さまへのフォローや実際の相談事

・ヘアカラーについては、帽子をかぶれば大丈夫! と事前にアドバイス。セルフカラーはどの美容師もおすすめしていない

・白髪染めのお客さまには、もし自分でやりたくなったら、あなたのセルフカラー用の商品(カラー番号)を探すのでメールをしてくださいと伝えた
「この状況だと、アメリカの人の髪へのプライオリティはもちろん低いです。あまり聞いてくる人はいません。それより、Ritsuko は大丈夫?と心配してくれるメッセージの方が多いです。
この前お客さまから、『この状況が終わったら、ピンクにしようと思う!楽しみ!』みたいなメールがきて嬉しくなりました。美容師として今できることは、会えないからこそ、忘れられないように何かしらで発信するのは大切だなと思います」

↓実際のお客さま、Katieからのメッセージ。“あなたが私の髪に「crazy things」をできるのが待ちきれない!”

 

ニューヨーカーが支持する、crazy thingsな穂高さんのヘアカラーはこんな感じ!

 

美容室や美容師へのアメリカ政府からの補助事情

お詫び)以下、支払額などに間違いがありました。後日内容を精査して更新します。

・会社は無利子のローンを組み賃料を補う
(従業員5名以下の小さな会社の場合は、売り上げトータル金額が前年度と比較して25%以上下がった場合、給料の40%を保障。※何か月分の補助かは不明)

・賃料の支払いを3カ月間延ばせる

・職業問わず、大人1人につき$1200(約13万円)、17歳以下の子供1人あたり$500(約5万5000円)を支給。※ただし年収750万以下の場合。世帯は世帯年収$150000(約1600万円)以下なら対象。

・ガス料金の支払い遅延の場合の追加料金免除 など

▲上記はすべて穂高さんからの情報です。

「この他にも、失業保険の申請をアメリカの人はみんな出しています。1週間あたり最大$600支給×13週間の補償=1ヶ月最大$2400もらえるものなのですが、回線がパンクして申請するのに1週間くらいかかり、そこから手元までくるのに3-6週間かかると言われています。
こうした政策はすぐに発表されたのですが、人が多すぎて申請するのにとにかく時間がかかります。
また、上記なような情報も1人だと分からないものが多く、SNSで詳しく載せてくれている人の情報をみたり、同業の人達に聞いた情報がすごく役にたちました

ロックダウン後の生活のリアル

「今はとにかく家にいて友達にも会いません。お互いのために会わないようにしています。なので、ラインやインスタ、メール。オンラインでお酒を飲みながら近況報告したりしています。

あとは、私は手が鈍らないようにカラーのturorial(教育)の動画レッスンを始めてみました。ニュースで目まぐるしく変わる情報をチェックして、料理したり、英語を見直そうと思い、オンラインのクラスをとったりしています。(befluentnyc@befluentnyc@befluenttokyo]は日本からも取れるのでぜひ!渡辺直美ちゃんも受けていました)
あと、わたしの旦那さんは雑誌や広告などの撮影でヘアをスタイリングするヘアスタイリストなので、撮影で使える巻き方ショーのバックステージで使えるテクニックを、やっとお互いの時間が合うので教えてもらっています。

スーパーに買い出し行ったり、散歩したり。他のみんなはヨガしたり、netflixを観たり、家でできることをしながらこの状況を楽しんでいる人が多いですね。いつも公園には人がたくさんいたのですが、最近ついに公園も封鎖になりました。

この生活は悪いことばかりではなく、何年ぶりかのお客さまや学生時代の友達などからも連絡をもらい、本当に人とのつながりの大切さと感謝を改めて確認できる機会になっています

また、ヘアカラーの更なる学習や美容関係のオンラインセミナーをやってみようと思ったり、『zoom』などのオンラインサービスの便利さを知ったので日本とつながった仕事をしてみたいと思ったり。zineでもいいので自分の本をつくりたい! と夢を広げる時間になっています

 

ロックダウンを経験した穂高さんから、日本の美容師へのメッセージ

「今わたしは仕事ができなくなって2週間です。美容師は人対人の仕事なので、この状況は一切何もできることがなく辛いです。いつ再開できるかもわからないので不安ですが、今世界中が同じ状況なので仕方ないと思います。

今のNYや街の雰囲気は震災の時の日本にすごく似ています。日本の方々は震災を経験している分強いと思うのですが、このコロナウィルスによる“美容室が営業できない”状況は、全く違う対策を取る必要があると思います。今回お伝えしたことは、私がアメリカにいて驚かされ納得させられたことも多く、参考になれば嬉しいです。
また、美容室を閉める直前の日にもサロンに来てくれたのは、ほとんど日本人の方でした。緊張感の違いなのか、苦境に慣れているからか、やはり美への意識の違いなのかわかりませんが、日本人の方にとって、美容室は特別な場所なのかもなと思いました。
でも、正直あのまま営業を続けていたら、感染が止まらなかったと思うので、営業停止というのは正しかったなとは思います。わたしたちのほうが倒れてしまうので。
日本でサポートがない中、お店を持たれている方やアシスタントがたくさんいるお店はどうなってしまうんだろうと心配ですが、それぞれができることを今は考えたほうがいいかなと思います。

もし、今日本で自分が経営者だったら、国にサポートやローンの申請を聞きにいったり、ギフトカードの準備、連絡先を確認する、材料をオーダーしないとか、時給制にするとか、考えるかなと思います。ロックダウンする前にできることはしておいてください。

そして、お客さまへのサポートのお願いは、意外と、お願いしていいと思います!! ロックダウン中、美容室は何も仕事ができないので。レストランはまだデリバリーとかあるので生きる道があると思うのですが、私たちは何も手段がありません。

また、東京や大阪など首都圏で働いている方は実家に帰る際は2週間自宅隔離してから帰ることをおススメします。自分が病原体保有者である可能性は必ずあり、親や家族などにうつってしまって後悔する、なんてことが世界中で起こっています。家族とのつながりが深いが故に、急いで帰ってしまった子供たちが移してしまって祖父母の方が亡くなってしまったという事態がたくさん起きていました。接客業である限り、自分もその1人だという認識を持った方がいいと思います

辛いのは日本だけではなく世界中なので、支え合う、助け合う、思いやるということを大切に、行動したほうがいいと思います。大変な状況だと思いますが、ロックダウンの前にできることはやってみてください! お互い乗り切っていきましょう!」

 

穂高律子[Three Degrees Salon/(アメリカ・ニューヨーク)]

ほたかりつこ/1982年7月25日生まれ。岩手県出身。日本美容専門学校卒業後、東京・表参道のDaBを経て2010年macaroni coastにオープニングスタッフとして参加。2016年に渡米し、現在は雑誌やブランドの撮影やブライダルのヘアメイク、ファッションウィークのバックステージにも参加しながら、Three Degrees Salonにてサロンワークを行う。

Instagram:@ritsuko725

 


【加筆修正のお知らせ】

2020年4月9日(木)に写真を追加、一部文言を追加しました

 

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